介護施設(特養)に入居している人が救急搬送になることがあります。その場合の手順や詳細を定めたマニュアルはどのような内容にしたらいいのでしょうか。
また、持ち物・職員の同乗・家族への対応など詳しい内容について説明します。

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介護施設(特養)で救急搬送が必要になる主なケース
| ケース | 含まれる症状・状況 |
| 意識障害・けいれん | 呼びかけに反応しない、急にぼんやりする、会話が成り立たない、けいれんが続く、発作後に意識が戻らない |
| 呼吸困難・窒息・誤嚥 | 息苦しさ、呼吸が浅い・速い、唇や顔色が悪い、食事中に喉を詰まらせた、咳き込み後に呼吸状態が悪い |
| 脳卒中や心疾患が疑われる症状 | 片側の手足が動かない、ろれつが回らない、顔の片側が下がる、急な強い頭痛、胸痛、冷汗、強い動悸 |
| 転倒・外傷・出血 | 頭部打撲、骨折が疑われる痛み、立てない、出血が止まらない、転倒後に意識や呼吸が普段と違う |
| 感染症・脱水・熱中症などの急な全身状態悪化 | 高熱、ぐったりしている、血圧低下、尿量低下、食事や水分が取れない、嘔吐・下痢が続く、体温異常 |
| 服薬ミス・誤飲・重いアレルギー反応 | 薬の過量服用、他人の薬を飲んだ、洗剤や消毒液の誤飲、顔や口唇の腫れ、じんましんに加え息苦しさがある |
介護施設(特養)では、入居者の持病や普段の状態を踏まえ、「急にいつもと違う状態になったか」を重視して判断することが大切です。
介護施設で救急搬送するかどうかの判断基準
介護施設で救急搬送を判断する基準は次の3つです。
①命に関わる危険があるか
②後遺症につながる恐れがあるか
③施設内対応だけで安全を確保できるか
呼びかけに反応しない、呼吸困難、顔色不良、胸痛、片麻痺、ろれつ不良、けいれん、頭部打撲後の異常、止まらない出血、窒息・誤嚥、高熱や脱水でぐったりしている場合は救急搬送を検討します。
高齢者は症状を訴えにくいため、普段と明らかに違う状態も重要な判断材料です。
救急搬送の判断は誰がする?
介護施設で救急搬送を判断するのは、現場職員・オンコール担当の看護師・嘱託医などが連携して行うのが基本です。
まず、入居者の異変に気づいた介護職員が、意識・呼吸・顔色・痛み・出血の有無などを確認し、オンコール担当の看護師へ報告します。
看護師は報告内容をもとに、嘱託医や協力医療機関への連絡、救急搬送の必要性を判断します。
ただし、意識がない、呼吸が苦しい、窒息している、大量出血があるなど、明らかに緊急性が高い場合は、オンコールへの連絡と並行して119番通報を行うこともあります。
施設では、誰に連絡するか、どのような状態で救急要請するかを事前に決めておくことが大切です
介護施設の救急搬送マニュアルと手順

手順①入居者の異変を発見する
介護施設で入居者の異変を発見したら、まず普段の状態と比べて明らかな変化がないかを確認します。
発見者はその場を離れず、周囲の職員へ応援を求め、施設の緊急時対応マニュアルに沿って初期対応を行います。
特に、生命の危険が疑われる状態では、速やかに救急要請につなげることが大切です。
確認する主な項目は以下です。
・意識の有無、呼びかけへの反応
・呼吸の状態、息苦しさの有無
・顔色、唇の色、冷汗
・出血、痛み、腫れ
・麻痺、ろれつ不良、けいれん
・転倒、誤嚥、急な発熱、ぐったり感
手順②応急対応と安全確保を行う
救急搬送が必要か判断する前に、入居者の安全を確保し、状態に応じた応急対応を行います。
転倒後であれば無理に動かさず、出血があれば圧迫止血を行います。食事中の窒息や誤嚥が疑われる場合は、施設の手順に沿って気道確保や応援要請を行います。
あわせて、救急隊が到着した際に対応しやすいよう、周囲の環境を整えます。
主な対応は以下です。
・入居者を安全な場所・姿勢にする
・転倒後は無理に動かさない
・出血がある場合は圧迫止血を行う
・呼吸や意識の状態を継続して確認する
・他の入居者を近づけない
・救急隊の通路や搬送経路を確保する
手順③看護職員・オンコール担当へ報告する
オンコール体制がある施設では、現場職員が確認した状態を看護職員やオンコール担当者へ速やかに報告します。報告は、状況を簡潔に整理して伝えることが重要です。
看護職員は報告内容をもとに、嘱託医や協力医療機関への連絡、経過観察、受診、救急搬送の必要性を判断します。
報告時に伝える内容は以下です。
・いつ、どこで異変が起きたか
・どのような症状があるか
・意識や呼吸はあるか
・バイタルサインの数値
・転倒、誤嚥、発熱など原因として考えられること
・応急対応として行ったこと
・普段の状態と比べて何が違うか
手順④緊急性が高い場合は119番通報する
意識がない、呼吸が苦しい、窒息している、大量出血がある、けいれんが止まらない、急な麻痺やろれつ不良があるなど、生命に関わる危険がある場合は119番通報を行います。
オンコール担当への連絡が基本となる施設でも、緊急性が高い場合は、オンコールへの連絡と並行して救急要請することが重要です。
119番通報時に伝える内容は以下です。
・施設名、住所、電話番号
・入居者の年齢、性別
・現在の症状や状態
・発症・受傷した時刻
・意識や呼吸の有無
・持病、服薬、アレルギー
・現在行っている応急対応
・救急隊の入口や誘導場所
手順⑤救急隊へ渡す情報を準備する
救急隊が到着するまでに、入居者の基本情報や医療情報を準備します。氏名や生年月日だけでなく、既往歴、服薬内容、普段のADL、発症前後の様子などを整理しておくと、搬送先での判断がスムーズになります。
多くの自治体や消防本部では、救急情報シートや緊急時情報シートの活用を推奨しています。
準備しておきたい情報は以下です。
・氏名、生年月日、年齢
・既往歴、かかりつけ医
・服薬内容、アレルギー
・家族・キーパーソンの連絡先
・普段のADLや認知機能の状態
・発症前後の様子
・バイタルサインの変化
・施設で行った対応内容
<救急連絡シートの具体例>

※クリックして拡大できます。
参考:仙台市公式サイト
手順⑥家族・管理者・関係者へ連絡する
救急搬送が必要になった場合は、施設の連絡体制に沿って家族、管理者、嘱託医、協力医療機関などへ連絡します。
家族には、発生日時や現在の状態、救急要請を行った理由、搬送先などを簡潔に伝えます。
夜間などで家族がすぐに来られない場合もあるため、誰が同乗するか、搬送先へ誰が向かうかも施設内で確認します。
連絡時に伝える内容は以下です。
・発生した日時と場所
・現在の状態
・救急要請を行った理由
・搬送予定先、または搬送先が決まり次第連絡すること
・施設で行った応急対応
・同乗者や施設側の対応予定
・今後の連絡方法
手順⑦搬送後に記録と振り返りを行う
救急搬送後は、対応の経過を記録し、施設内で情報共有を行います。記録を残すことで、家族への説明や職員間の引き継ぎがしやすくなります。
また、搬送後に診断結果や状態が分かった場合は、再発防止策やマニュアルの見直しに活かします。救急対応は一度きりで終わらせず、振り返りを行うことが重要です。
記録しておきたい内容は以下です。
・異変を発見した時刻と状況
・確認した症状やバイタルサイン
・看護職員・医師へ連絡した時刻
・119番通報の時刻
・救急隊へ引き継いだ内容
・家族へ連絡した内容と時刻
・搬送先、診断結果、帰設後の対応
・今後の改善点や再発防止策
介護施設で救急搬送対応マニュアルを作るポイント5つ

1. 救急搬送を検討する症状を明確にする
救急搬送対応マニュアルでは、どのような状態になったら救急要請を検討するのかを具体的に示すことが大切です。
たとえば、意識がない、呼吸が苦しい、顔色が悪い、胸痛や強い腹痛がある、片麻痺やろれつ不良がある、けいれんが続く、転倒後に様子が違う、出血が止まらない、窒息や誤嚥が疑われる場合などです。
高齢者は症状をはっきり訴えられないこともあるため、「普段と明らかに違う状態」も判断材料に含めます。
職員が迷わず初動を取れるよう、症状を抽象的に書くのではなく、現場で確認しやすい言葉で整理しておくことが重要です。
2. 連絡先と報告の流れを決めておく
救急搬送時は、誰に、どの順番で連絡するかを事前に決めておく必要があります。
介護職員が異変を発見した場合、看護職員やオンコール担当者、管理者、嘱託医、協力医療機関、家族へどのように報告するのかを明確にしておくと、緊急時の混乱を防ぎやすくなります。
特に夜間や休日は職員数が限られるため、オンコール担当につながらない場合や、緊急性が高い場合の対応も決めておくことが大切です。
連絡先は一覧化し、電話番号、担当者名、連絡するタイミング、伝える内容まで整理しておくと実用的なマニュアルになります。
3. 119番通報時に伝える情報を整理する
救急搬送対応マニュアルには、119番通報時に伝える情報もまとめておきます。
通報時には、施設名、住所、電話番号、入居者の年齢・性別、現在の症状、意識や呼吸の有無、発症・受傷時刻、持病、服薬内容、アレルギー、現在行っている応急対応などを落ち着いて伝える必要があります。
緊急時は焦って情報が抜けやすいため、通報用のチェックリストを作っておくと安心です。
また、救急隊が迷わず到着できるよう、施設の入口、夜間の解錠方法、誘導担当者、搬送経路などもマニュアルに記載しておくと、到着後の対応がスムーズになります。
4. 救急隊へ渡す情報を日頃から準備する
救急搬送時には、入居者の医療情報をすぐに救急隊へ渡せるようにしておくことが重要です。
氏名、生年月日、既往歴、服薬内容、アレルギー、かかりつけ医、家族連絡先、普段のADL、認知機能の状態、食事形態、直近のバイタルサインなどを整理した救急情報シートを作成しておくと、搬送先での診療にも役立ちます。
情報が古いままだと正確な引き継ぎができないため、定期的に更新する仕組みも必要です。
救急時に探すのではなく、普段から保管場所を決め、夜勤職員でもすぐに取り出せる状態にしておくことが大切です。
5. 搬送後の記録と振り返り方法を決める
救急搬送対応マニュアルでは、搬送して終わりではなく、その後の記録と振り返りまで決めておくことが大切です。
異変を発見した時刻、症状、バイタルサイン、職員が行った対応、看護職員や医師への連絡時刻、119番通報の時刻、救急隊への引き継ぎ内容、家族への連絡内容などを記録します。
搬送後に診断結果や経過が分かった場合は、施設内で共有し、対応に問題がなかったかを確認します。
必要に応じて、再発防止策やマニュアルの見直しにつなげることで、次回以降の救急対応をより迅速で安全なものにできます。
救急搬送になったときに必要な持ち物
救急搬送時に準備しておきたい持ち物は、以下のとおりです。
・健康保険証、介護保険証、医療受給者証
・診察券
・お薬手帳
・現在服用している薬
・入居者の基本情報シート
・既往歴、アレルギー、かかりつけ医の情報
・家族やキーパーソンの連絡先
・直近のバイタルサイン記録
・発症・受傷時の状況メモ
・普段のADLや認知機能、食事形態の情報
・着替え、下着、靴、上着
・紙おむつ、尿取りパッド、タオル
・眼鏡、補聴器、義歯などの生活用品
・携帯電話や充電器
・現金、小銭
・施設職員の連絡先がわかるもの
救急搬送時は、医療機関での診察や処置に必要な情報をすぐ確認できるよう、保険証類やお薬手帳、既往歴、服薬内容、アレルギー情報を優先して準備します。
あわせて、発症時刻や症状の変化、施設で行った対応をメモしておくと、救急隊や医師への引き継ぎがスムーズです。入院になる可能性もあるため、
最低限の着替えやおむつ類、眼鏡・補聴器など本人に必要な生活用品も用意しておくと安心です。
救急搬送では職員が同乗・付き添いすべき?
救急搬送時に職員が同乗・付き添いをするかは、施設の人員体制、入居者の状態、家族の到着可否を踏まえて判断します。
※介護施設職員の同乗・付き添いは法的義務ではありません。
職員が付き添うことで、普段の様子や既往歴、服薬状況、発症時の経過を医療機関へ伝えやすくなる一方、特に夜間は施設内の職員数が限られ、他の入居者の見守り体制に影響する場合があります。
そのため、施設としては「どのような場合に同乗するか」「同乗できない場合に誰へ連絡し、どの情報を救急隊へ渡すか」を事前に決めておくことが重要です。
職員が同乗しない場合でも、救急隊へ救急情報シートを渡し、家族や医療機関と連絡が取れる体制を整えておく必要があります。
三重県の令和4年の実態調査では、「職員が付き添った(救急車に同乗した)」が62%、「職員が搬送先へ向かった(同乗せず)」が16%、「職員は付き添わなかった」が5%となっています。
参照元:三重県公式サイト
救急搬送する場合の家族への対応は?同意が必要?
施設として救急搬送が必要と判断した場合は、家族へ速やかに連絡します。
ただし、意識障害、呼吸困難、窒息、大量出血など生命に関わる危険がある場合は、家族の同意を待つのではなく、119番通報を優先します。
救急要請後は、発生日時、現在の状態、搬送を判断した理由、施設で行った対応、搬送先を家族へわかりやすく伝えます。
家族がすぐに来られない場合に備え、搬送先への向かい方、職員の付き添い可否、今後の連絡方法を確認しておくことも重要です。
施設側は、緊急時に判断が遅れないよう、入居時に緊急連絡先や医療機関への搬送方針を確認し、同意書や重要事項説明書などで対応方針を共有しておくと安心です。
介護施設の救急搬送は義務?
介護施設に「必ず救急搬送しなければならない」という一律の義務があるわけではありません。
ただし、入居者の生命や身体に危険がある場合、施設には安全を確保し、必要な医療につなげる対応が求められます。
意識障害、呼吸困難、窒息、大量出血、急な麻痺など緊急性が高い状態では、施設内で抱え込まず119番通報を行う判断が重要です。
厚生労働省のガイドラインでも、介護保険施設等における事故予防や事故発生時の適切な対応の重要性が示されています。
介護施設で救急搬送しない選択はある?
介護施設で救急搬送しない選択が取られる場合もあります。
たとえば、本人や家族の意向を確認したうえで看取り介護の方針が決まっている場合や、嘱託医・協力医療機関の判断により施設内での経過観察や看取り対応が適切とされる場合です。
ただし、施設側が独断で搬送しないと決めるのは避けるべきです。
本人・家族の意向、医師の判断、施設の対応方針を事前に確認し、急変時に迷わないよう記録しておくことが重要です。
介護施設の救急搬送トラブル事例
1. 終末期の心肺停止で搬送方針に迷った事例
実際に起こったこと
終末期でショートステイを利用していた方が心肺停止となり、家族はかかりつけ医への救急搬送を希望しました。一方で、家族は蘇生処置を望んでおらず、救急搬送の目的と家族の希望がかみ合わず、施設側が対応に迷った事例です。
説明
救急搬送は、原則として救命や緊急治療につなげるための対応です。そのため、終末期や看取り方針がある場合でも、急変時に搬送するのか、施設内で看取るのか、蘇生処置を行うのかを事前に整理していないと、現場職員が判断に迷いやすくなります。
対策
本人・家族の意向、看取り方針、DNARの有無、急変時の連絡先、搬送希望の有無を事前に確認し、記録しておくことが重要です。状態変化があった際は、嘱託医や協力医療機関とも方針を共有し、夜間や休日でも職員が迷わず対応できるようにします。
参照元:三重県公式サイト
2. 軽度の発熱でも家族から搬送を求められた事例
実際に起こったこと
家族から「夜間に37.5℃以上の発熱があれば、すぐ救急搬送してほしい」と強く希望された事例です。施設側は、発熱以外に明らかな症状がない場合でも救急車を呼ぶべきか、家族との関係を考えて判断に迷いました。
説明
介護施設では、医学的な緊急性だけでなく、家族の不安や要望が救急搬送の判断に影響することがあります。ただし、体温だけで一律に救急要請を決めると、救急車の適正利用や施設運営上の判断とずれる可能性があります。
対策
入居時や状態変化時に、どのような症状なら救急搬送を検討するのかを家族へ説明しておきます。発熱時も、意識、呼吸、血圧、酸素飽和度、食事・水分摂取量などを含めて判断する方針を共有し、家族の希望だけでなく医療的な判断基準に沿って対応できる体制を整えます。
参照元:三重県公式サイト
3. 夜間に職員の同乗を求められて困った事例
実際に起こったこと
夜間の救急搬送時に、救急隊から職員の同乗を求められたものの、施設側は夜勤職員が少なく、同乗すると他の入居者の見守り体制に支障が出るため困った事例です。小規模施設では、夜勤1人で対応しているため、施設を離れられないケースもあります。
説明
職員が同乗すれば、入居者の普段の様子や発症時の経過を医療機関へ伝えやすくなります。一方で、施設を離れることで他の入居者の安全確保が難しくなる場合があります。そのため、同乗できるかどうかは施設の人員体制や家族の対応状況を踏まえて判断する必要があります。
対策
同乗するケース、同乗できないケースをマニュアルで明確にします。同乗できない場合は、救急情報シート、服薬情報、家族連絡先、施設連絡先を救急隊へ渡し、搬送先から施設へ連絡が取れる体制を整えます。夜間の応援体制や管理者への連絡手順も決めておくと安心です。
参照元:三重県公式サイト
4. 食事介助中に窒息・誤嚥が起きた事例
実際に起こったこと
食事介助中、嚥下状態が悪い入居者に対して、職員が一口ずつ飲み込みを確認しながら介助していました。しかし、本人に傾眠傾向があり、急に顔色が悪くなり、詰まったような状態になりました。その後、むせが強くなり、誤嚥が疑われる状態となった事例です。
説明
高齢者は嚥下機能が低下しやすく、認知症や傾眠、姿勢保持の難しさがある場合は、食事中の窒息や誤嚥のリスクが高まります。ミキサー食やとろみを使用していても、本人の覚醒状態や姿勢、口腔内の残留物によって急変することがあります。
対策
食事前に覚醒状態、姿勢、口腔内の状態を確認し、無理に食事介助を続けないことが重要です。嚥下状態に応じた食形態や介助方法を見直し、必要に応じて看護職員や医師、言語聴覚士に相談します。吸引器やAEDの設置場所、窒息時の対応手順を職員間で共有し、定期的に研修を行います。
参照元:香川県公式サイト
5. DNARがある利用者を救急搬送するかで対応が分かれた事例
実際に起こったこと
介護施設で心肺停止状態の利用者に対し、救急隊が心肺蘇生を始めたところ、施設側が記録を確認して「この方は心肺蘇生を望んでいません。病院には連れて行かないでください」と伝えました。
救急隊は、救急搬送する以上は最善の処置をしながら医療機関へ搬送する必要があると説明し、家族と施設に説明したうえで病院へ搬送しています。
説明
この事例は、DNARや看取り方針があっても、救急隊が到着した時点で心肺停止を確認した場合、現場で心肺蘇生を止める判断が難しいことを示しています。施設側が「蘇生はしない」「搬送もしない」と考えていても、救急要請後は救急隊のルールに沿った対応になるため、現場で認識のズレが生じやすい事例です。
対策
看取り方針やDNARの有無は、本人・家族・嘱託医・協力医療機関・施設で事前に共有し、「急変時に119番通報するのか」「施設内で看取るのか」を明確にしておくことが重要です。夜間職員でも確認できる場所に記録を保管し、急変時の連絡先や判断手順をマニュアル化しておきます。
参照元:千葉県公式サイト
まとめ
介護施設での救急搬送は、入居者の命を守るための重要な対応である一方、判断基準や連絡体制が曖昧なままだと、現場職員の迷いや家族とのトラブルにつながる可能性があります。
意識障害、呼吸困難、転倒、誤嚥、急な全身状態の悪化など、救急要請を検討すべき症状を整理し、オンコール担当者や嘱託医、家族への連絡手順を明確にしておくことが大切です。
また、救急情報シートや服薬情報を日頃から整備しておくことで、搬送時の引き継ぎもスムーズになります。
施設全体でマニュアルを共有し、定期的に見直すことで、緊急時にも落ち着いて安全な対応を取りやすくなります。

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