訪問看護ステーションが赤字の理由6つと対策!赤字率は?

訪問看護ステーションが赤字の理由6つと対策!赤字率は?

訪問看護ステーションが赤字になる理由は?赤字率はどのくらい?また黒字化するためにはどうしたらいいのか、などについて詳しく説明します。

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訪問看護ステーションの赤字率・収支状況

厚生労働省の介護事業経営調査委員会資料によると、令和6年度決算における訪問看護の赤字事業所の割合は38.2%でした。

収支差率は令和5年度決算が11.9%、令和6年度決算が10.3%で、1.6ポイント低下しています。

介護事業全体からすると赤字率が高いサービスではありませんが、多くの事業所が赤字で苦しんでいることがわかります。

参照:厚生労働省

訪問看護が赤字になる理由6つ

①利用者数・訪問件数が不足している

訪問看護は、看護師の給与、事務所家賃、車両費、通信費、請求ソフトなどの固定費が毎月発生するため、一定以上の訪問件数がなければ収入が費用を上回りにくい構造です。

特に開業初期や営業体制が弱い事業所では、ケアマネジャーや病院からの紹介が安定せず、看護師の稼働時間に空きが出やすくなります。

訪問件数が少ないまま人員を抱えると、人件費率が高まり、赤字化しやすくなります

さらに、職員数が少ないステーションほど赤字傾向がある(代わりがいないと、訪問ルートが最適化しづらく、移動時間が増えるため)との調査もあり、単に人を減らすのではなく、必要な訪問件数を確保して稼働率を高めることが重要です。

②人件費率が高くなりすぎている

訪問看護は看護師・理学療法士・事務職など専門職の配置が必要で、売上に対して給与費が大きな割合を占めます

人件費率が高いこと自体は悪ではありませんが、訪問件数、加算取得、訪問単価とのバランスが重要です。

稼働率が低いスタッフが多い、移動時間が長い、事務作業に時間を取られて訪問時間を確保できないといった状態が続くと、黒字化は難しくなります。

③家賃・車両費など固定費が重い

訪問看護ステーションでは、事務所家賃、駐車場代、車両リース料、ガソリン代、保険料、通信費、システム利用料などの固定費が発生します。

利用者数が少ない段階でも固定費は毎月かかるため、売上が一定水準に届くまでは赤字になりやすい構造です。

特に都市部では家賃や駐車場代が高く、地方では訪問エリアが広くなり車両費や移動コストが重くなる傾向があります。

固定費を売上で割った比率が高い場合、訪問単価を上げるだけでは改善しにくいため、事務所規模、車両台数、訪問エリアの設定を見直す必要があります。

④医療保険・介護保険の請求管理が甘い

訪問看護は、介護保険と医療保険の両方を扱うため、請求管理が複雑です。

主治医の指示書、ケアプラン、訪問看護計画書、記録、各種加算の算定要件を正確に管理できていないと、特別管理加算や緊急時訪問看護加算などの請求漏れ、返戻、査定につながり、本来得られる報酬を取り逃す可能性があります。

また、返戻や査定が多いと、入金が遅れたり事務負担が増えたりします。小規模事業所では管理者が営業、訪問、請求確認を兼務することも多く、請求チェックが後回しになりがちです。

売上を増やす前に、まず「請求漏れ」「加算漏れ」「返戻率」を確認することが重要です。

⑤看護師の離職・採用コストが大きい

訪問看護では、看護師の離職が経営に大きく影響します。退職者が出ると、既存スタッフの訪問負担が増え、利用者の受け入れを制限せざるを得ない場合があります。

その結果、売上が減る一方で、求人広告費、人材紹介手数料、教育コストが発生します。

さらに、新人看護師が独り立ちするまでには同行訪問や記録指導が必要です。採用できてもすぐに十分な訪問件数を担当できるとは限らないため、短期的には人件費が先行します。

離職率が高い事業所では、売上拡大よりも先に、管理者のマネジメント、オンコール負担、教育体制、人間関係の改善が必要です。

⑥記録・移動・事務作業の効率が悪い

訪問看護は、実際の訪問時間だけでなく、移動、記録、報告書作成、ケアマネジャーや医師への連絡、請求事務など多くの間接業務があります

これらの時間が長いと、看護師1人あたりの訪問件数が伸びず、人件費率が上がります

紙の記録や手入力が多い、訪問ルートが非効率、電話連絡が属人化している、請求前チェックに時間がかかるといった状態では、現場の疲弊も進みます。

黒字化には、単に「もっと訪問する」だけでなく、訪問以外の時間を減らし、看護師が専門業務に集中できる仕組みづくりが欠かせません。

赤字が続く場合に見直すべき経営指標

赤字が続く場合は、売上総額だけでなく、収支差率、人件費率、看護師1人あたり訪問件数、訪問1回あたり収入、訪問1回あたり支出、実利用者数、加算取得率、キャンセル率、返戻率を確認しましょう

厚労省調査では、訪問看護の令和6年度決算における訪問1回当たり収入は8,463円訪問1回当たり支出は7,966円です。

これより自社の訪問単価が低い、1回当たり支出が高い、または訪問件数・稼働率が不足している場合は、単価・コスト・稼働率のどこに課題があるかを分解して確認する必要があります。

参照:厚生労働省

訪問看護を黒字化する対策6つ

①稼働率と訪問単価を見える化する

黒字化の第一歩は、看護師ごとの稼働率と訪問単価を見える化することです。

月間売上だけを見るのではなく、職員1人あたりの訪問件数、1日あたり訪問件数、訪問1回あたり収入、キャンセル率を確認します。

たとえば、訪問件数は多いのに利益が出ない場合は、単価の低い訪問が多い、移動時間が長い、加算が取れていない可能性があります。

反対に単価は高くても件数が少ない場合は、営業や受け入れ体制に課題があります。管理者が週単位で数字を確認し、訪問ルートや担当配分を調整することで、売上改善につながります。

②人件費率とシフトを管理する

訪問看護では、人件費率を適切に管理することが重要です。令和6年度決算の訪問看護の給与費率は70.1%であり、人件費が収入の大部分を占めています(参照:厚生労働省)。

そのため、常勤・非常勤のバランス、オンコール体制、訪問件数に応じたシフト設計を見直しましょう

利用者数が少ない段階で常勤を増やしすぎると、固定人件費が重くなります。一方で、少人数で無理に回すと離職リスクが高まります。

売上計画と採用計画を連動させ、一定の訪問件数を超えた段階で増員するなど、段階的な人員配置が必要です。

③固定費を見直し、損益分岐点を下げる

赤字が続く場合は、固定費を下げて損益分岐点を低くすることも大切です。

事務所が広すぎる、家賃が高い、車両台数が多い、使っていないシステムを契約しているなど、売上に貢献していない費用がないか確認しましょう。

特に開設初期は、見栄えのよい事務所や過剰な設備に投資するよりも、必要最低限の固定費で始めるほうが安定しやすくなります。

また、訪問エリアを広げすぎると移動時間と燃料費が増えるため、エリアを絞って密度を高めることも有効です。

固定費を下げれば、必要な訪問件数も減り、黒字化までのハードルを下げられます。

④ケアマネ・病院との連携を強化する

利用者数を増やすには、ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院の地域医療連携室・退院支援部門、在宅療養支援診療所などとの連携が欠かせません。

訪問看護は紹介経路が限られやすいため、営業活動を属人的にせず、地域の関係機関に継続的に情報提供することが重要です。

ただ挨拶に行くだけでなく、対応できる疾患、精神科訪問看護の可否、ターミナル対応、リハビリ対応、緊急時対応、受け入れ可能枠を明確に伝えましょう。

紹介後の報告を丁寧に行うことも信頼獲得につながります。地域で「相談しやすいステーション」と認識されれば、安定した利用者獲得につながります。

⑤離職率を下げて採用コストを抑える

黒字化には、採用よりも定着が重要です。離職が多いと、求人費、人材紹介手数料、教育コストが増えるだけでなく、既存スタッフの負担増や利用者受け入れ停止にもつながります。

特に訪問看護は一人で利用者宅を訪問するため、孤独感や判断負担が離職理由になりやすい職場です。

対策として、定期面談、同行訪問、相談しやすい管理者体制、オンコール負担の分散、記録業務の簡素化を進めましょう

給与だけで引き留めるのではなく、働きやすさと成長支援を整えることが大切です。定着率が上がれば、採用コストを抑えながら訪問件数を安定させられます。

⑥ICT化で事務負担を減らす

ICT化は、訪問看護の収益改善に直結します。

電子カルテ、訪問スケジュール管理、請求ソフト、スマートフォンでの記録入力、情報共有ツールを導入すれば、記録や報告、請求確認にかかる時間を減らせます。

重要なのは、単にシステムを入れることではなく、現場の業務フローを見直すことです。二重入力が残っている、紙と電子が併用されている、職員によって入力ルールが違う状態では効果が出にくくなります。

記録様式を統一し、外出先でも入力できる環境を整えることで、看護師の残業削減、請求漏れ防止、訪問件数の増加につながります。

まとめ:赤字の原因を分解し、数字で改善する

訪問看護ステーションの赤字は、利用者不足、人件費率の上昇、固定費、請求漏れ、離職、業務効率の悪さが重なって起こります。

まずは、人件費率、訪問件数、訪問単価、固定費、返戻率を数字で確認し、原因を分解しましょう。

そのうえで、稼働率改善、加算管理、採用定着、ICT化、地域連携を進めることが、安定した黒字経営への近道です。

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